自動思考を治したい!心のフィルターを取り除く
「自動思考」で悪いことが生まれる危険
何かについて考えたり、一つの出来事を受け止めるときに、人間は人それぞれの思考パターンがあります。同じ出来事でも、その人の思考パターンによって受け止め方が違ってきます。
例えば、自分はダメな人間だと思い込んでいると、褒められても素直に受け取れなかったり、何か相手がたくらんでいるのかなと勘ぐってしまいます。素直に考えると喜んでいいことなのに、悪いイメージだけが先立ってしまいます。
そういう状態が続けば誰でも心理的に弱ってしまい、うつ病などの精神病に陥りかねません。でも、そもそもの原因はその人の認知の仕方にあるので、間違ったとらえ方を治せば、いいことを素直に喜べるようになります。
精神療法で認知療法と呼ばれる考え方です。
自分の考え方のクセやパターンを知り、それにふり回されないようにし、それをもっと柔軟にさせて気分の改善をはかったり、適応性を高めていきます。これは、うつ病だけでなくごく普通の会社員やOLなどのストレスマネジメントとしても有効な治療法とされています。
認知パターンの中でも特に問題になってくるのは、自分の行動に悪影響を与える「自動思考」と呼ばれるものです。
持って生まれた性格や過去の経験の影響を受けて、そのときの感情によって無意識に生じる思考パターンのことです。
自分からマイナスに物事を考えて、一日を暗いイメージに塗り替えてしまう人は、この「自動思考」にはまっている場合があります。
例えば、いつも相手から挨拶をしてくれるような人が、その日はしてこなかった。これだけのことでも、マイナスに物事を考える人は不安に襲われます。
「私知らない間に何かしたかな」
「私について変な噂でも聞いたに違いない」
本当は、ただ相手が他ごとを考えていて気がつかなかっただけかもしれないし、心配事があって思わず無視してしまったかもしれません。つまり、少し考えるだけでもあなたとは全く関係のないことの可能性が大いにあるのです。
ところが、自分に原因があるに違いないと思い込んでしまうと、次々に悪い予感がして気持ちが落ち込んでしまいます。
何でもないことを勝手に悪く解釈ふると、悪いことばかり思い出されて実際に悪いことばかり起こるように感じてしまうのです。
心のフィルターを取り外すと…
このような認知の歪みは、「心のフィルター」と呼ばれるものです。たった一つの悪く見えることだけに気持ちを奪われてしまうと、たくさんあるはずのいいこともすべて曇ってしまいます。
前向きにいいことを考えるというのは、この「心のフィルター」を取り外す作業です。
無意識のうちにかけてしまっているフィルターを外すのは簡単なことではありません。しかし、毎日、前向きなことを考える習慣をつければ、今自然についている心のフィルターの色を明るくすることができ、ありのままの現実を本来の明るさで見えるようになります。
そうすると、これまで気がつかなかった前向きな物事に気がつくようになります。
わたしたちは、現在の自分の心を占めている不安や悩みが取り払われたとき、世界が急に明るくなったように感じます。
例えば、普段感じない身体の不調を感じ、あれこれ考えた末〝癌かもしれない〟と不安に駆られたとします。思い切って検査を受けたら何の異常もないとわかった。
大なり小なりそういう経験はないでしょうか。
私も、たまたま鏡で口の中を見たときに、頬の裏側に黒い斑点が見えたことがあります。え?!ほくろ?!いつのまに?!…あれこれ調べて、〝癌かもしれない〟と頭が真っ白になりました。翌日改めて鏡を見てみるとただの血豆でした。
不安が消えた瞬間、これまでできていなかったことさえも、なんだかできる気がしたり、もうなんでもできるわ!という明るい気分になるものです。心のフィルターが外れた瞬間に、積極的なプランや前向きな考えが浮かんでくるのです。
それまでは「自分の人生なんて…」と思っていたのに。
不安なことはなんでもないことに変わってしまい、これまでなかった希望が一気に湧き上がります。
まずは、こうして心のフィルターを外すことです。
その最初の一歩こそが、いいこと尽くしの人生を作り上げるきっかけになります。